2011年11月20日日曜日

高脂血症を起こす薬の服用

血中脂質値が上がる原因のひとつに、ある種の薬の服用があります。
そんな薬としては、次にあげるようなものがよく知られています。

●サイアザイド系利尿剤
尿の量をふやし腎臓からのナトリウムの排泄を促して血圧を下げようとする高血圧治療薬に利尿剤があります。
この利尿剤には作用の面から3つのタイプがあり、その中のひとつがサイアザイド系利尿剤です。
この薬を長期間服用していると、総コレステロール値と中性脂肪値を上げる場合があります。
また、善玉のHDLコレステロール値の低下がよく見られます。

●βブロッカー
高血圧や心臓病など、循環器病の治療薬です。
この薬のある種のものは、長期間服用すると中性脂肪値を上昇させ、HDLコレステロールを減らすことがあります。

●経口避妊薬
いわゆるピルも中性脂肪値を上げ、HDLコレステロール値を低下させる可能性があるといわれます。
この薬は、エストロゲンとプロゲステロンという2種類の女性ホルモンを配合してあることが多く、エストロゲンは中性脂肪を増加させます。

ネフローゼ症候群や腎不全によって高脂血症を起こす

腎臓病が原因で高脂血症が起こることがあります。
そうした腎臓病の代表が、ネフローゼ症候群です。
これは、主に慢性腎炎という病気によって起こる症状の総称で、尿にタンパク質がたくさん出て血液中のタンパク質が少なくなり、むくみが出たりします。

ネフローゼ症候群を起こすと、ほとんどの場合、高コレステロール血症を起こします。
少なくなった血液中のタンパク質を補うために、肝臓でアポタンパクの合成が多くなり、その結果、血液中のコレステロールが増えてしまうのです。

慢性腎炎などがさらに進行すると、腎臓の機能が極端に低下して、健康な人の50%以下の働きしかできなくなる腎不全という状態になります。

腎不全の中でも、経過や症状が徐々に進行していくものを慢性腎不全といいます。
この慢性腎不全になると、主に中性脂肪が高くなります。
またHDLコレステロール値が低くなったりします。

なお、腎不全の治療では、高エネルギー食をとる必要があり、このせいで腎臓では、コレステロールとともに中性脂肪を盛んに合成します。
人工透析中の患者さんも食事の影響で、高コレステロール血症と中性脂肪血症を合併することが少なくありません。

2011年11月10日木曜日

内臓脂肪型は高脂血症の原因になる

肥満は、体のどの部分に脂肪がつくかで、皮下脂肪型肥満と内臓脂肪型肥満の2タイプに分けられます。

皮下脂肪型肥満は、皮膚のすぐ下に中性脂肪が付き過ぎるタイプ。
内臓脂肪肥満は、腸を取り囲む腸間膜(腸がおなかの中で絡み合わないように包んで支えている薄い膜)などに中性脂肪が付き過ぎるタイプです。

問題なのは、内臓脂肪型肥満です。
内臓脂肪型肥満の人は皮下脂肪型肥満の人よりも、糖尿病や高脂血症、高血圧などの生活習慣病になりやすことがわかっています。

内臓脂肪は余ったエネルギーを一時的にためておく臨時の貯蔵庫です。
皮下脂肪にくらべて、新陳代謝が旺盛で、常に中性脂肪の合成と遊離脂肪酸への分解を繰り返しています。

このため、内臓脂肪型肥満になると、腸間膜にたまった内臓脂肪から血液中に遊離脂肪酸がたくさん放出されるうえに、腸間膜の血液は、門脈という血管をとおってすべて肝臓に流れ込む仕組みになっているため、遊離脂肪酸はすべて肝臓に流れ込んでしまいます。

利用されない遊離脂肪酸は肝臓酸を原料に、中性脂肪とコレステロールを大量に合成してVLDLとして血液中に放出します。
当然、血中脂質は増加し、おのずと高脂血症を引き起こすことにつながるのです。